
【2025年度最新】太陽光発電の売電価格は?売電価格の推移や今後の動向を解説!
- 売電価格とは?どのように決められる?
- 太陽光発電の売電制度:FIT制度とFIP制度とは?
- FIT制度
- FIP制度
- 2025年(令和7年度)の売電価格はいくら?
- 売電価格の推移は?
- 売電価格はなぜ年々下落している?
- 10年後の売電価格は?今後どうなる?
- 太陽光発電の売電価格に向けた対策
- 太陽光発電の売電価格に関するよくある質問
売電価格とは?どのように決められる?

「売電価格」は文字通り、電力供給者(家庭や企業など)が太陽光発電システムによって生成した再生可能エネルギー(電力)を電力会社に売却する際の価格を意味します。売電単価は、1kWh(1kWの電力を1時間使用した場合の電力量)あたりの価格で、これが高ければ高いほど、電力供給者の利益が増えるという仕組みです。
太陽光発電の売電価格は、再生可能エネルギーの電源ごとに、コストを基盤として価格目標や利潤を考慮しつつ、中立的な調達価格等算定委員会の意見を考慮しながら、経済産業大臣が決定します。これは再生可能エネルギーで発電した電力を買い取ることを国が保証する固定価格買取(FIT)制度の価格であり、毎年変更されます。
太陽光発電の売電制度:FIT制度とFIP制度とは?
太陽光発電の売電制度として、FIT制度とFIP制度の2種類があります。
ここでは2つの制度について、それぞれ紹介します。
項目 | FIT制度 | FIP制度 |
買取価格 | 固定価格 | 変動価格(市場連動) |
対象 | 住宅(10kW未満) 法人(10kW以上50kW未満) 法人(50KW以上) | 法人(50KW以上) |
インバランス | インバランス料金の免除特例あり | インバランス料金が発生 |
非化石価値 | 国に帰属するため取引不可 | 事業者に帰属するため取引可能 |
FIT制度
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT制度)のことで、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社などが一定価格、一定期間買い取ることを国が約束している制度です。なお、対象である、住宅(10kW未満)の太陽光発電の買取期間は10年間、法人(10kW以上50kW未満および50KW以上)の買取期間は20年間とされています。
電力会社などが再エネ電力を買い取る費用の一部は、日頃から電気を使用している我々国民から「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」という形で電気料金に上乗せして集められており、まだまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支える構造になっています。再エネ賦課金は毎月の電気料金と併せて集められています。
FIP制度
フィードインプレミアム制度(Feed-in Premium:FIP制度)のことで、再生可能エネルギーで発電した電力を卸電力市場や相対取引によって市場で売電する際に、あらかじめ設定された基準価格(FIP価格)よりも参照価格(市場取引などによって期待される収入)が少ない場合に、その差分をプレミアム単価として加算される制度です。
法人としては、電力を市場で売電するという柔軟性を保ちながら、プレミアム単価としての追加収入を得ることが可能になっています。

画像出典:再生可能エネルギーFIT・FIP制度ガイドブック2022年版から抜粋
2025年(令和7年度)の売電価格はいくら?

2025年度(令和7年度)の売電価格を以下に示します。
年度 | 50kW以上 | 10kW以上 50kW未満 | 10kW未満 |
2024年度 | 9.2円 | 10円 | 16円 |
2025年4~9月 | 8.9円 | 10円 | 15円 |
2025年10月~2026年3月 | 8.9円 | 10円 | 24円(導入~4年) 8.3円(5~10年) |
2026年度 | 8.6円 | 9.9円 | |
買取期間 | 20年間 | 10年間 |
出典:買取価格・期間等(経済産業省 資源エネルギー庁)を元に当社にて表を作成(1kWhあたりの買取価格で記載)
2025年10月からは、太陽光発電システムを導入した住宅に対し、「初期投資分の早期回収」および「自家消費促進」を目的とし、2段階の買取価格設定となっています。導入後4年間は24円で買取されることが決まっているため、初期投資の早期回収が見込めます。
しかし、導入後5年経過してからは買取価格が8.3円になることを考慮してみると、実は以下の計算式の通り、平均では2025年4~9月の買取価格を下回っていることがわかるため、慎重に検討しましょう。
2025年10月~2026年3月の1kWhあたりの買取価格(平均値)
{(24円 × 4年)+(8.3円 × 6年)} ÷ 10年 = 14.58円
売電価格の推移は?

資源エネルギー庁のwebサイトを元に、当社にて図を作成
出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html
出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
FIT制度適用中の売電価格は、FIT制度が開始となった2012年から年々下落しています。上記はあくまでFIT期間適用中の売電価格ですが、FIT期間が終了する10年後を指す「卒FIT」になると、さらに売電価格は下がっています。
上図の、2025年4~9月のFIT適用期間中の売電価格(10kW未満)が1kWhあたり「15円」であるのに対し、卒FIT後は大手電力会社でも1kWhあたり「7~9円」と半分程度の価格になってしまうため、卒FITを迎える場合の選択肢についても、今から検討しておきましょう。
売電価格はなぜ年々下落している?
ではなぜ売電価格は年々下落しているのでしょうか。単純に利益も減少するような感覚になってしまいますが、実際はそうではありません。
①太陽光発電システムの費用が年々下がっているから

出典:太陽光発電について(資源エネルギー庁)37ページから抜粋
太陽光発電システム費用を設置年別に見ると、その価格は年々減少傾向にあります。これは導入時の費用負担が少なくなってきていることを意味しているため、バランスを取るように売電価格もそれに応じて減少傾向にあるという仕組みです。
一見、売電価格が年々下がる=売電収入が下がっているため、導入を考えているユーザーにとってはデメリットのようにも思えますが、過去から比較すると、投資額が少なくなったことが理由として挙げられています。
②再エネ賦課金により国民の税負担が増加しているから

出典:再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移(新電力ネット)を元に、当社にて図を作成
FIT制度で電力会社が電力買取する費用の一部は、再エネ賦課金という形で月々の電気料金に上乗せされる形で国民から集められていることを前述しました。再エネ賦課金の推移を見るとわかる通り、年々再エネ賦課金は上昇傾向になっています。
※2023年については、ロシアによるウクライナ侵攻の結果、電力の市場価格が高騰したことで、電力会社の利益が増え、再エネ賦課金の価格が一時的に大幅に下落しました。
太陽光発電が普及するにつれて、再エネ賦課金による国民負担が増加していることもあるため、バランスを取るように売電価格が引き下げられていることも理由の1つとなっています。
10年後の売電価格は?今後どうなる?
上述したように、太陽光発電システムの普及が進むことで導入費用は下がるものの、再エネ賦課金は増加するため、それらのバランスを取るように今後も売電価格は緩やかに減少していくことが予想されます。FIT制度が開始となった2012年と、10年後の2022年の10kW未満の売電価格推移を比較すると、1kWhあたり25円も下落しています。当初の売電価格が高く設定しすぎたのではないかという世論もありますが、それでも10年後は今よりも下がっているか、2025年10月からの初期投資回収スキームを通常モデルとして運用されていく可能性もあります。
FIT適用中の売電価格が下がるということは、つまり卒FITを迎えた後も売電価格は下がる一方です。まだ太陽光発電システムを導入したばかりでも、卒FITをこれから迎える方も、今から卒FIT後の売電も視野に入れておきましょう。
太陽光発電の売電価格に向けた対策
FIT適用中の売電価格については、国に定められた固定価格となっており、また売電先を変更することもできないため、現状では売電に対しては対策することができません。
しかし、FIT制度を適用しない「非FIT(non-FIT)」や、FIT制度終了後の「卒FIT」では、いくつかの選択肢があります。以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
最近話題の非FIT太陽光発電とは?FIT制度や卒FITとはどこが違うの?わかりやすく解説!
太陽光発電の売電価格に関するよくある質問
再エネ賦課金はどのように決められているのでしょうか?
毎年3月、経済産業省が再エネ賦課金単価を決定しています。2025年度については、2025年3月21日にリリースがあり、2025年5月検針分の電気料金から2026年4月分検針分の電気料金までの適用内容が案内されています。
2025年の売電価格は24円となぜ上がっているのですか?
2025年10月からは、太陽光発電システムを導入した住宅に対し、「初期投資分の早期回収」および「自家消費促進」を目的とした、2段階の買取価格設定となっています。よって導入後4年目までは24円/kWhですが、5~10年目までは8.3円/kWhで売電価格があらかじめ設定されているため注意しましょう。また平均で見ると14.58円/kWhと下落傾向も続いています。